運営法人向けの情報
【価格・料金】月額利用料金の値上げに対する不満
1.ご家族からの相談
現在入居中のホームから物価高騰を理由に月額の利用料を値上げすると言われました。同意しなければならないのでしょうか。
2.押さえておきたいポイント
月額利用料の変更に関しては、入居者側の個別同意は必要ありません。
もっとも、有料老人ホーム設置運営標準指導指針において、「利用料等の改定のルールを入居契約書又は管理規程上明らかにしておくとともに、利用料等の改定に当たっては、その根拠を入居者に明確にすること。」と規定されています。
このため、事業者が入居者側に対して値上げの合理的理由を説明すること抜きに、一方的に利用料を引き上げる行為は、指導指針に違反するだけでなく、消費者契約法違反となる可能性があります。
ただし、入居契約書において、例えば以下のような規定が明示されており、入居者がこれらの内容に合意して契約を締結している場合には、事業者は入居者の個別同意を得ることなく、契約上定められた手続きを踏むことで利用料の改定を行うことが可能と判断されます。
・「○年に一回、料金改定をすることができる」
・「改定にあたり、運営懇談会の意見を聴く」
・「料金改定に際し、合理的な理由を提示する」
3.これから入居を検討する方へ
ご入居後の利用料(管理費・食費・家賃等)につきましては、経済状況や運営環境の変化等により、契約時に定められた金額が改定される場合があります。何故なら、これら運営費用の高騰リスクを施設側が全て負わなければならないとすると、施設の閉鎖リスクやサービスの低下を招く可能性もあり、それは却って入居者全体の利益にそぐわない結果になる可能性があるからです。
利用料の改定については、契約書・重要事項説明書に記載された「改定の条件」や「手続きの内容」を必ずご確認ください。
(1) 利用料改定の主な条件(例)
以下のような合理的な根拠に基づき、利用料が改定される可能性があります。
・消費者物価指数の変動
・人件費の上昇
・原材料費・維持管理費等のコスト増加
・サービス内容・提供形態の変更
・近隣同種施設との費用比較 等
※特に管理費・食費については、物価や人件費の変動等により、改定されることがあります。
(2) 改定時の手続き(例)
利用料の改定を行う際には、以下の手続きを経たうえで実施されます。
・運営懇談会において意見を聴く
・入居者・連帯保証人・身元引受人へ事前通知
なお、上記の条件・手続きが適切に行われており、民法の規定(民法第548条の4)も遵守している場合は、入居者の個別の合意がなくても改定が可能とされています。
(参考)
・民法 第548条の4(定型約款の変更)
・有料老人ホームの設置運営標準指導指針(令和6年12月6日) 12 契約内容等(2)契約内容
・公益社団法人全国有料老人ホーム協会 有料老人ホーム標準入居契約書(6 訂版) (利用料の改定)第24条
4.相談事例からホーム運営のポイント(会員マイページにのみ掲載)
続きは、会員マイページにログインのうえ、ご覧ください。
会員の方はこちらをクリックこの記事は参考になりましたか?
