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【契約・解約】入居契約書の改定について
(ご入居者からの質問)
契約書が改定され、事業者からの契約解除項目に、入居者や家族からのハラスメントを理由とする契約解除事由が追加されている。組織的に大きな法人で、ホームからの圧力も強いため、このような条項が入った場合、入居者の立場が弱くなるのではないか。職員から入居者への虐待のケースもあり、そのような規定がないのに、入居者から職員へのハラスメントを規定するのは納得できない。
≪相談者に対する苦情対応委員会のコメント≫
職員からの虐待の禁止やハラスメントの防止については、法令等で定められており、入居契約書にてあえて記載されていないことが多いと思います。
一方、厚生労働省の調査で、入居者やその関係者からホーム職員へのハラスメントが増えた結果を受けて、有老協が作成している標準入居契約書では、入居者の関係者からのハラスメントについて追加しました。これによりホームからの解除も認められますが、安易な解除ができないよう厳しい要件が付けられています。ホーム側が勤務している職員を守るための対応をしていることをご理解ください。
(参考)
有料老人ホーム標準入居契約書(6訂版)
(設置者からの契約解除)
第26条 設置者は、入居者に次の事由があり、かつ信頼関係を著しく害する場合には、本契約を解除することができます。
一 ~五 (略)
2 設置者は、入居者又はその家族・連帯保証人・身元引受人・返還金受取人等による、設置者の役職員や他の入居者等に対するハラスメントにより、入居者との信頼関係が著しく害され事業の継続に重大な支障が及んだときに、本契約を解除することがあります。
高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平成十七年法律第百二十四号)(抄)
(定義等)
第二条
5 この法律において「養介護施設従事者等による高齢者虐待」とは、次のいずれかに該当する行為をいう。
一 老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第五条の三に規定する老人福祉施設若しくは同法第二十九条第
一項に規定する有料老人ホーム又は介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第八条第二十二項に規定する地域密着型介護老人福祉施設、同条第二十七項に規定する介護老人福祉施設、同条第二十八項に規定する介護老人保健施設、同条第二十九項に規定する介護医療院若しくは同法第百十五条の四十六第一項に規定する地域包括支援センター(以下「養介護施設」という。)の業務に従事する者が、当該養介護施設に入所し、その他当該養介護施設を利用する高齢者について行う次に掲げる行為
イ 高齢者の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
ロ 高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置その他の高齢者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること。
ハ 高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
ニ 高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること。
ホ 高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。
(立入調査)
第十一条 市町村長は、養護者による高齢者虐待により高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認めるときは、介護保険法第百十五条の四十六第二項の規定により設置する地域包括支援センターの職員その他の高齢者の福祉に関する事務に従事する職員をして、当該高齢者の住所又は居所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。
第五章 罰則
第三十条 正当な理由がなく、第十一条第一項の規定による立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは高齢者に答弁をさせず、若しくは虚偽の答弁をさせた者は、三十万円以下の罰金に処する。
職場におけるハラスメントの防止については、下記厚生労働省ホームページも参考にしてください。
【厚生労働省】職場におけるハラスメントの防止のために(リンク)
≪事業者に対する苦情対応委員会のコメント≫
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