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【契約・解約】月払いの場合の解約について
(ご入居者からの質問)
5/11 から有料老人ホームに入居し、考え方の違いにより 5/17 に退居の申し出を行い、6/18 に退居した。入居時に敷金 12 万円を支払っているが、ホームから 6/18までの家賃・共益費を相殺される旨連絡があった。クーリング・オフになるので、解約予告日以降の家賃などは支払わなくてよいのではないか。
≪相談者に対する苦情対応委員会のコメント≫
クーリング・オフになるとのご質問ですが、クーリング・オフは訪問販売など一定の場合に無条件解除ができるというもので、事業所で契約をしていると思われる本件入居契約の場合には適用されません。退去した場合の精算関係はホームとの入居契約書にしたがって返金を行うことになります。ホームは実際の退去日までの家賃等を相殺すると言っているそうですが、契約書の規定とおりであれば、妥当な扱いになります。
なお、有料老人ホームの場合、クーリング・オフに似ている制度として、短期解約特例というものがあります。これは、老人福祉法第 29 条 7 項に規定される前払金を受領するホームに対するもので、前払金を受領している場合は、解約予告期間の有無にかかわらず、死亡退居を含め 3 月以内の退居の場合、預かった前払金を全額返金のうえ、利用期間の利用料を請求することとされています。本件の場合は前払金の受領でないので、この制度の適用はありません。
(参考)
(特定商取引法におけるクーリング・オフができる取引と期間)
•訪問販売(キャッチセールス、アポイントメントセールス等を含む):8日間
•電話勧誘販売:8日間
•連鎖販売取引:20日間
•特定継続的役務提供(エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービス):8日間
•業務提供誘引販売取引(内職商法、モニター商法等):20日間
•訪問購入(業者が消費者の自宅等を訪ねて、商品の買い取りを行うもの):8日間
※上記販売方法・取引でも条件によってはクーリング・オフできない場合があります。
特定商取引法以外にも、保険業法・宅地建物取引業法・有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律・ゴルフ場等に係る会員契約の適正化に関する法律・割賦販売法・特定商品等の預託等取引契約に関する法律などにもクーリング・オフに関する取り決めがあります。
○老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)(抄)
(届出等)
第二十九条(1~6 略)
7 有料老人ホームの設置者のうち、終身にわたつて受領すべき家賃その他厚生労働省令で定めるものの全部又は一部を前払金として一括して受領するものは、当該前払金の算定の基礎を書面で明示し、かつ、当該前払金について返還債務を負うこととなる場合に備えて厚生労働省令で定めるところにより必要な保全措置を講じなければならない。
8 有料老人ホームの設置者は、前項に規定する前払金を受領する場合においては、当該有料老人ホームに入居した日から厚生労働省令で定める一定の期間を経過する日までの間に、当該入居及び介護等の供与につき契約が解除され、又は入居者の死亡により終了した場合に当該前払金の額から厚生労働省令で定める方法により算定される額を控除した額に相当する額を返還する旨の契約を締結しなければならない
○老人福祉法施行規則(昭和三十八年厚生省令第二十八号)(抄)
(家賃等の前払金の返還方法)
第二十一条 法第二十九条第八項の厚生労働省令で定める一定の期間は、次に掲げるものとする。
一 入居者の入居後、三月が経過するまでの間に契約が解除され、又は入居者の死亡により終了した場合にあつては、三月
二 入居者の入居後、一時金の算定の基礎として想定した入居者が入居する期間が経過するまでの間に契約が解除され、又は入居者の死亡により終了した場合(前号の場合を除く。)にあつては、当該期間
2 法第二十九条第八項の厚生労働省令で定める方法は、次に掲げるものとする。
一 前項第一号に掲げる場合にあつては、法第二十九条第七項の家賃その他第二十条の九に規定する費用(次号において「家賃等」という。)の月額を三十で除した額に、入居の日から起算して契約が解除され、又は入居者の死亡により終了した日までの日数を乗ずる方法
二 前項第二号に掲げる場合にあつては、契約が解除され、又は入居者の死亡により終了した日以降の期間につき日割計算により算出した家賃等の金額を、一時金の額から控除する方法
≪事業者に対する苦情対応委員会のコメント≫
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