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【価格・料金】不当な請求について
(ご家族からの質問)
認知症の義父が入居以来、デイサービスを利用していたようだが、この請求をホーム側で失念していたため、まとめて 9 か月分請求したいとの連絡があった。デイサービスの利用については、全く聞いておらず、義父が申込書にサインしており、ホーム側では「認知症でも契約は成立している」と言って譲らない。この請求について拒否することは可能か。
≪相談者に対する苦情対応委員会のコメント≫
人が契約するためには、行為の結果を判断するに足りるだけの精神能力が必要とされ、これを「意思能力」と言って、「意思能力を有しない契約は無効」とされています(民法3条の2)。大体10歳未満程度の精神能力をいい、認知症だからといって直ちに意思能力がないとはいえず、具体的に判断していくことが必要です。したがって、義父の状況からして正常な判断ができる状況でなかったという場合には、そのことを主張して申込みの効力を争っていくことになります。ただし、無効の場合でも、デイサービスを受けたという利益がありますので、不当利得と判断される可能性が高く、いくらかの費用負担はすべきと考えます(同法121条の2第3項)。具体的にはホームと相談のうえご検討ください。
(参考)
民法(明治二十九年法律第八十九号)
第三条の二 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。
第百二十一条の二 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。
2 前項の規定にかかわらず、無効な無償行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、給付を受けた当時その行為が無効であること(給付を受けた後に前条の規定により初めから無効であったものとみなされた行為にあっては、給付を受けた当時その行為が取り消すことができるものであること)を知らなかったときは、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。
3 第一項の規定にかかわらず、行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。行為の時に制限行為能力者であった者についても、同様とする。
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第三十七号)
(通所介護計画の作成)
第九十九条 指定通所介護事業所の管理者は、利用者の心身の状況、希望及びその置かれている環境を踏まえて、機能訓練等の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載した通所介護計画を作成しなければならない。
2 通所介護計画は、既に居宅サービス計画が作成されている場合は、当該居宅サービス計画の内容に沿って作成しなければならない。
3 指定通所介護事業所の管理者は、通所介護計画の作成に当たっては、その内容について利用者又はその家族に対して説明し、利用者の同意を得なければならない。
4 指定通所介護事業所の管理者は、通所介護計画を作成した際には、当該通所介護計画を利用者に交付しなければならない。
≪事業者に対する苦情対応委員会のコメント≫
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