運営法人向けの情報
【価格・料金】原状回復費用について(入居3年)
(ご家族からの質問)
祖母が死亡退居した。入居期間は3年程度、室内はきれいなのに原状回復費用として 57,240 円の見積もりがあがってきた。国交省のガイドラインに基づくのではないかと交渉すると多少減額された見積もりが来たが、納得がいかない。ホーム側の説明が一方的なので、ホームの本部あたりに協会から指導して欲しい。
≪相談者に対する苦情対応委員会のコメント≫
有料老人ホームの原状回復費用については、設置運営標準指導指針において、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考にすることと記載されており、このガイドラインでは、経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれることが示されています。これまでは、ガイドライン上の明示でしたが、2020 年 4 月施行の改正民法でも、「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化」は原状回復の対象とならないことが明記されています。
請求費用の判断は協会ではできかねますが、ホームや運営会社から納得できる説明が得られるよう協会からも会員法人本部にご連絡させていただきます。
(参考)
民法(明治二十九年法律第八十九号)(施行日:平成三十年四月一日)
第七節 賃貸借
(賃借人の原状回復義務)
第六百二十一条 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときはその損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰する(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)ことができない事由によるものであるときは、この限りでない。
公益社団法人全国有料老人ホーム協会 有料老人ホーム標準入居契約書(6訂版)より抜粋
(明渡し時の原状回復)
第28条 入居者又は身元引受人等は、第25条第二号又は第三号により本契約が終了した場合には、直ちに居室を明け渡すこととします。また、同条第一号により本契約が終了した場合には、契約終了日から起算して30日以内に居室を明け渡すこととします。
2 入居者又は身元引受人等は、前項の明渡しの際に、通常の使用によって生じた居室の損耗を除き、居室を原状回復しなければなりません。
3 設置者、及び入居者又は身元引受人等は、居室の明渡し時において、契約時に特約を定めた場合は当該特約を含め、別表第(6)の規定に基づき入居者が行う原状回復の内容及び方法について協議するものとします。
原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)(平成 23 年 8 月 国土交通省住宅局)より抜粋
第1章 原状回復にかかるガイドライン
Ⅰ 原状回復にかかるトラブルの未然防止
2 原状回復に関する契約条件等の開示
(2) 特約について
賃貸借契約については、強行法規に反しないものであれば、特約を設けることは契約自由の原則から認められるものであり、一般的な原状回復義務を超えた一定の修繕等の義務を賃借人に負わせることも可能である。(中略)次の要件を満たしていなければ効力を争われることに十分留意すべきである。
【賃借人に特別の負担を課す特約の要件】
① 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
② 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
③ 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること
≪事業者に対する苦情対応委員会のコメント≫
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