1.ご家族からの相談
寝たきりの母が介護付有料老人ホームに入居している。居室が乾燥するので相談者が加湿器を入れたが、この加湿器の水の補充をホームにお願いしても、水の補充に対応するかどうか、はっきりした返答がない。また施設長に肌着を毎日交換してほしいと依頼し、施設長も了解してくれたが、週2回の入浴時にしか交換していないことが判明した。加湿器の水の補充や下着の交換について、ホームで対応してもらえるものではないのか。
2.押さえておきたいポイント
・入居にあたってホームに提供してほしいサービスがあれば、希望するサービス内容を伝えホームとよく話し合い、ケアプラン等書面に明記してもらい、入居後も希望があれば、その都度ホームに希望を伝える。
・ホームが入居者に提供するサービスには、①アセスメント、ケアプランに基づく介護計画の援助 ②管理費枠に網羅される援助 ③それ以外の援助 がある。
・肌着の交換は①に該当すると考えられ、肌着の交換が実施されていないのであれば、ケアマネジャーに相談したうえで、ホームと合意をとり、ケアプランや書面に組み込む。
・加湿器の水の補充は、入居契約書を確認し②の管理費内のサービスに含まれるのか、含まれない場合、③として追加オプションサービスで対応ができるかをホームに相談する。
・契約内容とケアプランの両面からアプローチし、施設と具体的な対応を話し合う。
3.これから入居を検討する方へ
家族と話をしたうえで希望するサービス提供の内容を明確にし、それらがホームから提供されるサービスに含まれているのか、文書(入居契約書、管理規程、ケアプラン等)で確認しましょう。ホームによって設備・職員数・熟練度等の体制の状況により、入居者の方により年齢・性別・健康状態・身体能力・嗜好・御親族の要望と来訪頻度等々、非常に個別性のある需要の全てに完全に対応することは非常に困難を伴い、その全てを把握して入居者御本人と御親族の希望するとおりのサービスを提供することが困難な場合も少なくありません。
そこで、そのようなホームとの認識の違いにより無用の不満や摩擦を生じないようにするためには、入居段階において求める具体的なケアプランについて十分な説明とすり合わせを行い、その内容を書面化しておくことが有効な手段と考えられます。
(参考)
・有料老人ホームの設置運営標準指導指針(2024年12月6日)9サービス等(1)