シルバー川柳入選作品

「第12回シルバー川柳」入選発表

 第12回目となります「シルバー川柳」に、ことしは9,353作品の応募をいただきました。各ホームの入居者1,237名の投票をいただき、20作品を入選作として選出しました。

 また、当初発表いたしました入選作品に、平成19年キッチンバス工業会主催の「台所お風呂川柳」の優秀作と同一の作品がございましたので、次点の作品を繰り上げ、下記20作品を入選作とさせていただきました。

入選作品

※順不同、敬称略

日帰りで行ってみたいな天国に
斎 千代子(71歳/女性/宮城県/無職)
延命は不要と書いて医者通い
賣市 髙光(70歳/男性/宮城県/無職)
紙とペン探してる間に句を忘れ
山本 隆荘(73歳/男性/千葉県/無職)
三時間待って病名「加齢です」
大原志津子(65歳/女性/新潟県/無職)
目覚ましのベルはまだかと起きて待つ
山田 宏昌(71歳/男性/神奈川県/経営コンサルタント)
起きたけど寝るまでとくに用もなし
吉村 明宏(73歳/男性/埼玉県/無職)
年重ねもう喰べられぬ豆の数
乗鞍 澄子(88歳/女性/兵庫県/無職)
躓いて何もない道振り返り
山田  徹(44歳/男性/群馬県/会社員)
二世帯を建てたが息子に嫁が来ぬ
滝上 正雄(64歳/男性/神奈川県/会社員)
改札を通れずよく見りゃ診察券
津田 博子(46歳/女性/千葉県/主婦)
遺影用笑い過ぎだと却下され
神谷  泉(50歳/女性/愛知県/パート)
味のない煮ものも嫁のおもいやり
海老原順子(57歳/女性/茨城県/主婦)
年金の扶養に入れたい犬と猫
藤木 久光(68歳/男性/福岡県/無職)
ガガよりもハデだぞウチのレディーババ
葵  春樹(ペンネーム)(31歳/男性/千葉県/無職)
女子会と言って出掛けるデイケアー
中原 政人(74歳/男性/千葉県/無職)
LED使い切るまで無い寿命
佐々木義雄(78歳/男性/京都府/無職)
おじいちゃん冥土の土産はどこで買う?
角森 玲子(44歳/女性/島根県/自営業)
忘れ物口で唱えて取りに行き
角 佐智恵(77歳/女性/福岡県/無職)
指一本スマホとオレをつかう妻
髙橋多美子(51歳/女性/北海道/パート)
アイドルの還暦を見て老を知る
二瓶 博美(54歳/男性/福島県/無職)

応募状況

<応募総数>9,353作品
<応募者年齢>平均年齢:65歳  最年長:100歳(女性)  最年少:8歳(男児)
<応募者男女比>男性:51.4%  女性:47.7%  性別不明:0.9%

 年代構成比において、若年層(40歳未満)は前回の24.4%から今回は9.4%と減少したのに対し、高齢者(65歳以上)が前回の44.8%から今回は60.2%と増加していることから、実体験など自分のことを詠んだ句の割合が増加しています。特に、70代は前回19.3%から今回28.7%と最も伸び率が大きくなりました。

題材の傾向と内容

圧倒的に多い題材は、「病院」、目立ったワードは「脳トレ」「ウオーキング」

 題材別では「体力・気力・健康」を詠んだ句が最も多く、中でも「病院」を題材にしたものが目立ち、病気自慢、病院のはしご、病院の待合室での情報交換など、「病院」がシルバー層の大切な社交場であることがうかがわれました。またからだの衰えのもどかしさを自虐的に嘆く句も多数ある反面、ボケ防止・健康のためとして、「脳トレ」「ウオーキング」などの言葉を詠み込んだ句も多く見受けらました。

衰え行く容姿や行動を揶揄するものも多数。女性より男性が「容姿・しぐさ」を題材に。

 次いで多かった「容姿・しぐさ」を詠んだ句では、衰えていく様子を揶揄する傾向にあり、「どっこいしょ」「よっこいしょ」など、年令とともについ口に出てしまう言葉の引用や、年寄扱いされたショック、シルバーデビューをした嘆きなども多々見られました。また、頭髪の自虐ネタが多いせいか、女性より男性の方が、容姿・しぐさを題材とする割合が多い傾向にあり、男性だけで見ると、題材別比率のトップは「容姿・しぐさ」でした。

家族とのかかわりは「自身の子供」より「孫」を扱った句が多い

 「身内・夫婦」を詠んだ句では、孫の訪問を待ちわびる姿をうたっているものが多く、孫をかわいがっている様子が非常に強く伝わってきました。また、孫との関係では、今年話題になった「育ジイ」(いくじい)なる言葉もたびたび登場しました。その反面、「年金」が「孫」との関係に非常に大きくかかわっているという、「金の切れ目は縁の切れ目」といった実態を嘆く句も数多く見受けられ、世知辛さも感じられました。

 その他、長年連れ添った「夫婦」間を詠んだ句も多く、パートナーへの不満をテーマにした句もあったものの、結局のところ、夫婦二人の来し方や、パートナーをそれなりにいとおしく思っている仲睦まじい様子が浮き彫りになっています。

今年の世相を象徴する「スカイツリー」などがテーマに

 「世相・風刺、若者文化」を詠んだ句では、今年5月に開業した「スカイツリー」、8月開催の「オリンピック」など、今年の象徴的なできごとを示すワードが目立ったほか、「断捨離」、「スマートフォン」、「AKB」、「エンディングノート」、「オレオレ詐欺」などを盛り込んだ句も散見されました。また、「日野原氏」「きみまろ氏」「野田氏」など固有名詞を題材とした句も見受けられました。

高齢社会で「老人」の定義やその在り様に変化

 「高齢社会」をテーマに詠んだ句では、古稀をまだまだひよっこ扱いするなど、高齢化が進む中で「老人」の定義やその在り様に変化が起きていることを感じさせる句が目につきました。また、「死」というものと隣り合わせであることを明るい表現でとらえている傾向も見受けられ、「ぴんぴんころり」や「ぽっくり」な死を願う姿を読み込んだ句も多数みられました。